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すこやかな生き方のすすめ

すこやかな生き方のすすめ

桜井 章一 / 廣済堂出版





私は、麻雀はまったくやったことがありませんが、夫に薦められて桜井章一さんの本を読むようになりました。今回読んだこの本は、よしもとばななさんとの対談だったので、組み合わせがおもしろいなーと思い買ったものです。

すこやかな生き方、というのはいったいどんな生き方だろう。
読みながら、自分のまわりのすこやかそうな友人知人をあれこれ考える。
結論を言えば、すこやかな人って少ないな、ってところに行き着きました。私自身も「すこやか」とは言えないかな。
すこやかな生き方をしている人というのは、周囲の人に必ずいい影響を与えるはずで、自分の周りが「すこやかじゃない」ということは、きっと自分もそう。
私が一緒にいる人がすこやかじゃないとしたら、私もやっぱりすこやかな生き方はしていないのだろう、と。あまり認めたくはないけれど、そういうことだろうと思います。
同時に、すこやかではない環境に長く身を置くと、いつしか自分自身も蝕まれていくのかもしれないな、とも。
「ここは良くない」と感じたら、そこを去るということも大事なのかもしれません。
今持っているものを手放す怖さや、損得にとらわれていると、「ここは良くない」という感覚を見失ってしまうような気がします。

# by ester-grace | 2012-05-24 22:32 | 対談 | Trackback | Comments(0)

アスペルガーの館

アスペルガーの館

村上 由美 / 講談社




これまでも、何冊かアスペルガー症候群の方が書かれた本や、アスペルガー症候群を扱った本を読んできましたが、この本は読みやすく、参考になるものだと思います。

著者である村上由美さんはご自身がアスペルガー症候群であると同時にアスペルガー症候群の夫を持つ「家族」でもあり、そのため、この本は当事者、家族、両方の視点から書かれています。
村上さんは、幼いころにアスペルガー症候群の診断を受け、母親による「療育」を受けてきた経歴を持ち、そのため、身につけてきた「知識」と工夫によって「苦手なこと」をカバーしているそうです。
「自閉症スペクトラム」と言われるように、自閉症の症状は幅広く、千差万別。アスペルガー症候群の場合は高い言語能力を持ち、学力的にも高い知力を持つものの、自閉症の特徴とされる傾向を持っています。
30代以上で幼少時にアスペルガー症候群の診断を受けて、療育を受けてきたというケースは多くないそうです。周囲の協力を得ながら、自分自身の傾向を知り、苦手なことをカバーしていく術を身につけることは生きていくうえで非常に大きな力になります。実際に村上さんは、経済的自立を果たし、社会生活を営むことができています。幼いころから受けてきた「療育」と、大学の心理学科での学び、村上さん自身の職業である言語聴覚士という仕事などを通して身に付けた知識によって、苦手なことをカバーしながら仕事と生活をされているそうです。

これまでにも何冊かのアスペルガー症候群関連の書籍を読んできましたが、当事者でありながら第三者的な視点(アスペルガー症候群の当事者の家族、専門家としての)を持って書かれている本は初めて読んだので、とても新鮮かつ参考になる本でした。

# by ester-grace | 2012-05-23 00:12 | その他 | Trackback | Comments(0)

パラダイス・ロスト

パラダイス・ロスト

柳 広司 / 角川書店(角川グループパブリッシング)




早く出ないかなー、と待っていた柳広司さんの新刊です。日本陸軍の諜報機関”D機関”シリーズ。
「死ぬな。殺すな。とらわれるな。」、当時の軍隊組織の戒律とは正反対の戒律をもって、スパイを養成し極秘裏に作戦を遂行するD機関。今回は、各国諜報機関員達との攻防を題材にした話でした。

実在した陸軍中野学校を彷彿とさせますが、完全にフィクションだそうです。中野学校に着想を得たようですが、中野学校には「死ぬな。殺すな。とらわれるな。」といった教えはなかったそうです。
何冊かの本を読んだことがありますが、中野学校は確かに軍隊の中では異色であったと言えそうですが、やはりまぎれもなく軍組織だったようです。死ぬな、というのは教えられていたようですが。生きて作戦を遂行せよ、と。

戦時体制下の日本を舞台に、陸軍のスパイ養成機関を題材としたフィクション。楽しむのは不謹慎かなあ、といつもほんの少し罪悪感のようなものを感じるのだけれど、しかし読んでいると戦争や軍隊を礼賛することはなく、むしろ「敵を殺し、自らも命を捨てる」ことを否定するD機関の理念に基づいた物語で、決していたずらに戦争礼賛を煽るような内容ではありません。戦時体制下の日本という時代背景と、軍隊という舞台を題材としながら、その正反対のメッセージを感じる小説です。

# by ester-grace | 2012-05-06 23:40 | 小説 | Trackback | Comments(0)

Desert Flower

デザート・フラワー [DVD]

ポニーキャニオン

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Desert Flower

Waris Dirie / Virago Press Ltd




先日借りたDVDの予告編で目にしたこの映画、実話で原作があると知って、読み始めたところでした。ファッションモデルのワリス・ディリーというソマリア出身の女性の半生記です。まだ読んでいる途中なのですが、原作がすごく良かったので、DVDも見たくなって借りてしまいました。
原作とは少し違う部分もあるようですが、とても良い映画でした。

ワリスという名前はソマリアの砂漠に咲く花のこと。
本の前半、ソマリアでのことも時代のことを書いた部分を読むとこの「砂漠に咲く花」という名前が本当に美しい名前だと思えてきます。ワリスは遊牧民の一家に生まれ、13歳で家を出るまで砂漠で育っています。アフリカの砂漠(原書に挑戦しているため、少々理解力不足ですが、どうもサバンナ気候の地域のようです)を家畜とともに移り住む生活。子供たちも幼いころから家の仕事を助けて働き、学校教育も受けていない。生活は貧しい。けれども、ワリスの子ども時代は両親の愛情と兄弟たちとの絆の中で過ごした幸せな時代だったようです。彼女の子ども時代が「終わった」のは、13歳の時。彼女にもとうとう結婚する日が来た時でした。60代と思われる高齢の男性との結婚が決まり、ワリスは母親に助けを求め、かつて彼女の姉がそうしたように家(家族)から逃げ、砂漠の中を徒歩で首都モガディシュを目指しました。モガディシュでは、親戚のうちを転々としていましたが、やがて在英ソマリア大使館員の親戚のメイドとして、イギリスへ。メイドとして4年働いた後、親戚の帰国時に「パスポートを失くした」と言って強引にイギリスに残り、今では世界に知られるモデルに。

アフリカの砂漠しか知らない彼女にとって、アフリカの自然と動物と共生する生活は「あたりまえの世界」。本の中で、彼女の子ども時代の描写は、美しく優しいエピソードが多い。しかし、その一方で女性を苦しめる様々な慣習が文化として根付いており、それらはワリスを含めた女の子たちの人生に大きく影響する。そのひとつが、ワリスが現在廃絶に向けて活動してる「女子割礼」、いわゆる性器切除。結婚まで純潔を守るため、幼いうちに処置をするのですが、女性の肉体に健康上大きなリスクを負わせ、精神に大きな傷を残します。ワリスは今、このFGM(Female genital mutilation)という慣習を廃絶するための活動をしています。


1965年生まれのワリスは、私の夫とあまり変わらない年齢。私ともせいぜい10数歳差。

ソマリアの砂漠から、世界的なファッションモデルへとかけ離れた世界に飛び込んだワリス・ディリー。幼いころから「自分はほかのみんなとは違う」と思っていたという彼女は、力強く自分の進む道を切り開き、チャンスをつかみ取ってきました。本を読むと、彼女が育ってきた美しくも厳しいアフリカの自然との共生、ノマド(遊牧民)としての過酷な生活など、先進国で不自由なく育ってきた私たちには想像のつかないような世界が描かれています。
本の方は、今まだ読んでいる最中なのですが、これから読まれる方がいらっしゃれば、映画と合わせて読まれるといいと思います。

# by ester-grace | 2012-03-31 19:21 | DVD | Trackback | Comments(0)

神の火

神の火〈上〉 (新潮文庫)

高村 薫 / 新潮社


神の火〈下〉 (新潮文庫)

高村 薫 / 新潮社




1991年に書かれた高村薫さんの小説。原発テロを題材とした話です。チェルノブイリの事故のすぐ後に書かれた小説であるだけに、原子力発電所というものが持つリスクや、その将来性について言及されており、小説とはいえ、非常に重い言葉に満ちた内容です。昨年の3月の原発事故の後にもそこここで、見かけたような言葉が小説の中に見られ、20年前、すでにわかっていたことを私たちは放置してきたのだと思い知らされた気分になりました。知ろうとすれば知ることができたことだったのに。気づこうとすれば、気づくことができたことだったのに。そして、事故から1年経とうとする今、ともすると楽な方向へと流されそうになる自分に気づくことも度々。

「神の火」というタイトルは、原発の火を「プロメテウスの火」になぞらえてつけたタイトル。人間が神から盗んだ火。まさに言い得て妙、という感じ。
原子力発電の安全性、それは「何もなければ」という大前提の上に成り立つ話であったことを、私たちはようやく理解しました。人間にはコントロールすることのできない力を支配しているつもりになっていた傲慢さといったものを、強く感じました。人間は神ではないという当たり前の事実を、私たちは肝に銘じなければ。

この小説は原発というテーマがとてもタイムリーで、読んでいると色々考えさせられますが、それ以外に登場人物の魅力も読んでて惹きつけられる要因。1月に読んだ『リヴィエラを撃て』もそうでしたが、高村薫さんの人物描写はとても深みがあって素晴らしいと思います。ひとりひとりにこの物語に登場するまでの時間や背景などを感じさせる、人物としての「厚み」のようなものを感じます。

次はシリーズものを読んでみたいと思っていますが、読み始めるとじっくり時間をかけて読み込みたくなるので、少し仕事が落ち着いてからゆっくりと手に取ろうかなと考えているところです。
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# by ester-grace | 2012-03-04 23:11 | 小説 | Trackback | Comments(0)

高峰秀子 暮しの流儀

高峰秀子 暮しの流儀 (とんぼの本)

高峰 秀子 / 新潮社




2010年の年末亡くなった、女優の高峰秀子さんのエッセイが新装版で本屋さんにどんどん出てきます。ライターの斎藤明美さんの著作、『高峰秀子の捨てられない荷物』を読んでからすっかり高峰秀子さんが好きになり、エッセイを読み始めました。どのエッセイもとてもいい。なんて読んでいて気持ちのい文章だろうと、いつも思います。

高峰秀子の捨てられない荷物 (文春文庫)

斎藤 明美 / 文藝春秋




先日衝動買いした『高峰秀子 暮らしの流儀』はたくさんの写真が掲載されていて、とても見応えがあり、何度見ても飽きません。
斎藤明実さんの著作、高峰秀子さんご自身のエッセイ、どれを読んでも感じるのが、「潔さ」と「ぶれない生き方」。本当に大切なものを見極める感性と、それを選びとるブレのなさ、と言えばいいでしょうか。私などは、頭でわかっているつもりで、目先の欲や不安からあれもこれも手放せず、本当に大切なことをおろそかにしているように思うのです。
最近周囲を見ていても感じることは「優先事項を明確にすること」の大切さ。そしてわかっているなら、実行する強い意志を持つことの重要性。欲にとらわれて二兎も三兎も追うものは、多くの場合一兎も得ることができない、ということが多い。旗をすると手にしたものさえ、失う可能性があるということ。

それにしても、30歳で結婚して、50年以上。最後まで仲睦まじいご夫婦でいらしたこと、読むたびに素敵だなあ、と思います。

# by ester-grace | 2012-02-25 16:56 | その他 | Trackback | Comments(0)

リヴィエラを撃て

リヴィエラを撃て〈上〉 (新潮文庫)

高村 薫 / 新潮社



リヴィエラを撃て〈下〉 新潮文庫

高村 薫 / 新潮社




大学生の頃、高村薫さんの小説は。かなりはやっていました。仲の良かった友人が『リヴィエラを撃て』を読んで、面白いと絶賛していましたが、何となく読みそびれてしまい、これまで高村薫さんの本を読んだことがありませんでした。
今になって読もうと思ったきっかけは、ある韓国映画を見て調べ物をしていた時に『リヴィエラを撃て』のことがちょっと出てきたこと。
予備知識なしに読み始めたので、この物語の舞台がほとんど外国であり、登場人物の大半も外国人であるという設定に驚きましたが、読んでいても全く違和感がなく、最初から最後までどっぷりと物語の中に浸っていました。

リヴィエラのコードネームを持つ東洋人スパイを追う男たち。誰が味方で誰が敵なのかわからない緊張感。

IRAのテロリスト、MI5,MI6,CIA、諜報機関・・・日本で普通に生活しているとあまりなじみの無い感覚で、映画や小説の中でしかお目にかからないような話なのだけれど、アメリカに住んでいるアラブ系の夫を持つ友人は、空港ではチェックに時間がかかるし、引っ越したらFBIが家に来たと言う。
リヴィエラに出てきた登場人物は架空の人物だけれど、世界中を見渡せば、私にとっては小説の中のことが「現実」という人が存在するはず。彼らにとっては「普通」のことこそが「物語」なのでしょうね。

私は海外ドラマの中でもスパイものがとても好きでよく見ているけれど、それは私に取って完全に「非現実」だからこそ、面白いと感じるのであって、決して現実には起こらない(と思える)からこそ、楽しめる。けれども、ドラマや映画はおそらくある程度社会的な問題や構造を映し出している。私がよく見るのは、アメリカのドラマだが、非現実的に見える物語の中の事件は、アメリカでは「起こりうる」ことで、平和とは、いつ崩れるかわからないものであり、テロの危険性はいつも「そこ」にあり、隣人はテロリストかもしれないという潜在的な恐怖心があるということなのでしょうか。

# by ester-grace | 2012-02-11 23:56 | 小説 | Trackback | Comments(0)

フローズン・リバー

フローズン・リバー [DVD]

角川映画

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正月早々に見たDVDです。

公式サイト

2人の置かれた不条理な状況が最後に大きく変化する予感を残して、悲しいながらもほっとするラストです。主人公は2人の女性で、それぞれに苦しい状況に置かれていながらも、子どものことを思い力強く生きる姿が美しい。
アメリカ社会の複雑な事情が伺い知れる内容でもあります。日本に比べて、遥かに複雑な社会構造を持っており、貧富の格差も激しいということを感じさせます。そして、やはり男性に比べて、女性と子どもは遥かに不利で、社会構造歪みの影響を受けやすく、その状況を打破するのは容易ではない。
悲しいけれど、それは紛れも無く現実で、簡単には変わらない。
けれども、希望はある。最後は、そんな気持ちを抱くことができます。明るい話ではありませんが、観賞後、いい余韻があります。

# by ester-grace | 2012-01-15 01:07 | DVD | Trackback | Comments(0)

職業は武装解除

職業は武装解除

瀬谷ルミ子 / 朝日新聞出版



12月中に読んだ本。

「武装解除」の専門家がいるということを、初めて知り、NGOに対する認識が大きく変わった。
確かに、日本ではNGOとかNPOというとボランティアの延長のようなイメージが強い組織だが、
「欧米ではプロ中のプロの集団」という記述に、某国際的なNGO組織を思い出した。
職員の多くがしっかりとしたキャリアを持った方々で、大学の学部新卒では殆ど入ることのできない狭き門であると。ボランティアの延長という印象を持っていたので、その話を聞いた時は意外であった。

瀬谷ルミ子さんは紛争地における「武装解除」、兵士だった人々の社会復帰支援を専門とする。経歴を見ればわかるのだが、大学院で専門的な研究をしてきた専門家。この本の中で、彼女は自分の仕事の内容や紛争地の現実、そしていくつかのエピソードなどを紹介している。紛争地での活動と聞くと、ボランティアというイメージが強かった。しかし、実際には専門家たちが職業として携わっている分野が数多くある。

私は大学1年生のときに、ルワンダで1994年に起こったジェノサイドを知った。その映像を目にし、
大きな衝撃を受けたが、瀬谷ルミ子さんが1枚の写真を見て、「何かできないか」と感じたようには、感じなかったのだ。瀬谷さんは私と同世代で、同じ時代を生きてきた。しかし、同じ者を見ても、これほどに感じることも、その後の人生も違う。かすかな罪悪感のようなものを覚えるとともに、それは当然のことだとも思う。彼女は私に無いものを持っており、そしてそれは逆もまた然り。私には、他にすべきことがあるのだろう。その何かを真剣に考えたいと思う。

瀬谷ルミ子さんのブログ

# by ester-grace | 2012-01-09 15:16 | ノンフィクション | Trackback | Comments(0)

2012年 あけましておめでとうございます

12月、怒涛の勢いで過ぎてしまい、書きかけの記事も完成せずに、年が明けてしましました。

昨年は、洋書の多読に力を入れていたため、読書量が極端に少ない1年となりました。少しは、本らし本が読めるようになってきて、英語の読書も楽しめるようになりましたが、レヴューを書くというほどには、理解しきれていない、という感じで…。細かいところが、やはり曖昧になってしまいます。

それに加えて韓国語の勉強を始めたので、読書する時間を韓国映画のDVDを見る時間に一部充てたので、ますます本が読めず、PCに向かう時間も削り…。

今年ははアウトプットにも時間を割きたいと思います。

今年も良い本や映画との出会いがたくさんあることを期待して。

# by ester-grace | 2012-01-01 03:20 | Trackback | Comments(0)

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